イギリスの現役歌姫アデルは、チケットが手に入らないことで有名だ。
コンサートが決まれば即日完売、ロサンゼルスで毎日のように公演をやっているのに、チケットが残っている時間はない。
そんなAdeleは筆者の一押しであるが、Adeleがいかに歴史的に見ても珍しく、他のアーティストと一線を画しているかを述べていきたい。
1章・ブルーアイドソウルの女王
Adeleの音楽はいわゆる60年代~70年代にかけてメインストリームであった、ソウルミュージックをルーツとしている。
ソウルと言っても、かなり幅がある。
60年代初期のサザンソウル、後期から70年代中期全盛期のいわゆるソウルミュジック、80年代からシンセポップやディスコと形をおおーきく変貌していったが、90年代にmaraiaを筆頭とした
90sソウル、よりテクノに近いアーバンソウル、変拍子とスローテンポなネオソウル・・・などである。
Adeleのソウルは初期であるが、ルーツソウルに表拍のアクセントを若干付け加えたのが、ブルーアイドソウルである。
ブルーアイドとはかっこいい響きだが、場合によっては少し差別的な響きにもなってしまう。
ステレオタイプ的な視点で、ゴスペルにより近いリズムをブラック、ブレスりーのロックンロールや、フランクシナトラのジャズに近いリズムを、ホワイトと分けることがある。
私なりに言葉をかなり選んでいる。
正直初見だとそんなに聞き分けることができないから、あまり意識しすぎないようにしている。
アレサフランクリンとアデルの歌い方を聴き比べれば、その差は歴然だ。
なぜブルーアイドソウルがここまで注目されるかというと、ソウル全盛期の頃に、また今に至るまで、このジャンルで大きな成功をあげた人がいないからである。
Adeleの音楽は、昔の人にとっては懐かしいと言われる。
オアシスのノエルギャラガーもAdeleの音楽を『古臭い、哀しい。こういう音楽に限って朝に流れてきやがる。』と言っている。
ホワイトなリズムで、ソウルを完璧に歌いこなし、キャッチーなメロディーと共感できる歌詞で、今やチケットが全く取れないアーティストになっているのである。
まさに、グラミー賞にふさわしい、一種の斬新性と堅実性が調和した、ウルトラマリンブルーである。(Adeleの本名はアデル・ブルーアドキンズである。)
2章・高貴なクラシックを彷彿させる一貫性
Adeleのもう一つの特徴が、アレンジを絶対にしないことである。
AdeleのLive DVDをどの年代を見返しても、本当にCD通りに歌う。
若干表情は変えても、音符は全く変わらないのである。
これは、ジャズのような即興演奏の世界とは対をなす、クラシックのアプローチである。
例えば、、いやAdele以外ほとんどどのアーティストも、サビや観客が盛り上がったところで、歌い方を変えていると思うのだが、
見るのが早い。
2:46~
Adeleはこのようなことを一切しない。
それでも客が離れず、飽きずに聴ける。そして音を外さない。
Adeleの高貴なルックス、立ち振る舞い?話し方?がクラシック的なアプローチを可能にしている。
(Anne-Marie も原曲に忠実だが、多少アレンジする。そして、飽きる。)
3章・衰え知らず
どんなボーカリストも、歳をとって徐々に衰えていく。
衰えるスピードはそれぞれで、エアロスミスやエラフィッツジェラルドのように、晩年までトップパフォマンスをほぼ維持できる人もいれば、ふとした拍子で急に衰える人もいる。
Adeleは今の所衰え知らずである。
常に一定のパフォマンスを出す、プロフェッショナルであり、アスリート気質である。
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