北欧といえば、何が思い浮かぶだろう。
ノルウェーの森、Ikea、サウナ、ムーミン・・・
そして、世代によっては、、、ABBAが思い浮かぶのではないか?
1970年台、あまりにも世界で売れすぎて、北欧スウェーデンの国家アイデンティティーにもなった、北欧史上最も世界的に人気だったバンドだ。
ではなぜABBAがここまで世界的に影響を持てたか?
考察していきたい。
①奇跡的なハーモニー
ボーカルアグネタとフリーダはそれぞれ特化型アーティストであった。
あぐねたは完璧なリズムと、スウェーデン民謡を彷彿させる歌声、
フリーダはリズムはまずまずだが、声質が少し気持ちダークで個性的だった。
ABBAが解散した後、それぞれがソロで歌っている曲である。
ABBAは解散後、全く売れていない。
どちらかが欠けると、凡才になってしまうのだ。
お互いがユニゾンをしたり、どちらかがコーラスに入ることによって、歌が爆発的に良くなる。
奇跡的な相性の良さだったと思う。
日本のアイドルでSMAPが流行ったが、それぞれの技量はなけれど、5人で歌うと奇跡的に綺麗な音になっている・・・という専門家の評論を聞いたことがある。
あの技量で音楽の教科書に歌がのるくらいなのだから、それなりの訳がある。
ABBAにも近いことが起きていたのだと思う。
これは2人がコーラスに入る演奏。(00:39~)
こんな綺麗なハーモニーのコーラスは今まで聞いたことがないし、圧倒的だったと思う。
最強のコーラスとしても機能している。
私にとってフラグシップコーラスモデルは、ABBAである。
②地産地消ミュージシャン
ABBAの演奏家は、LIveもレコーディングもスウェーデン人である。
スウェーデン人が演奏しているのに・・・少し失礼かもしれないが、メインストリームであるアメリカ以外で良い演奏をできる人は、特に70年台は相当限られている中で、
ベースはラスターガナーソンという、北欧のJacoと呼ばれるくらい素晴らしい演奏だったし、ドラマーも良かった。
その一つ一つのラインに、北欧の土着性を感じられる点も素晴らしい。
例えばこの曲の、ベースライン。(00:34~)
ちょっとこのラインを思いつくのが無理ゲーな、初見殺しなフレーズである。
北欧的解釈が成している。
ABBAの人気を下支えしたのは、紛れもなく質の高いミュージシャンである。
※ABBAのLiveはクオリティーに波があり、ひどい時は・・・正直酷かった。
ネットで出回らない、ブートレグ音源を聴くとわかる。
③ABBAという人生の縮図
ABBAは世にも珍しい、2組のカップルで構成されたバンドだ。
最初はこんないちゃいちゃした曲を歌って、Dancing Queenで跳ねた後もイチャイチャ路線は一部変わらず、そして78年にアグネタカップルが破局し、その2年後にフリーダカップルが破局し、お互いが耐えられなくなって、84年に解散する。
この人生における流れの中で、その時の心情がダイレクトに音楽に反映されているのが、ABBAの音楽の特徴であり、凄みである。
凄みである。
例えば、名曲Winner take it all
アグネタ(メインボーカル)が破局した後、破局したパートナーが書いた歌詞を、アグネタが歌うことになる。
But tell me, does she kiss
Like I used to kiss you?
Does it feel the same
When she calls your name?
Somewhere deep inside
You must know I miss you
But what can I say?
Rules must be obeyed
和訳は調べてください。
これを過去のパートナに歌わせる神経の図太さよ。
実際、この曲の歌詞を見たアグネタは、泣き崩れたという。
しかし、その実態感こそが、Winner take it allを誰にも歌えないような、圧倒的な表現をもたらすこととなり、名曲中の名曲として、今も語り継がれている。
PVも面白い。
今の所、別れていないWinnerである、フリーダが中良さそうにパートナーと喋っているのを、アグネタが恨めしそうに見ている。
明日は我が身なのに。 フリーダは2年後に別れるが、その後フリーダがメインボーカルを務める、Super trooperという名曲が生まれる。
ABBAとは2つのカップルミュージシャンの人生の縮図である。
そして、最高の経験や最悪の経験が生み出した、ダイヤの原石である。
最後に、Dancing Queen。
Fes会場で誰もが知ってるこの曲を、大合唱している。
こんなにもポップで歌いやすい音楽は無いんじゃなかろーか。
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